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CAREER ADVISOR COLUMN

キャリアアドバイザーコラム

日本緩和医療学会支部学術大会レポート

キャリアを考える

緩和ケア現場の取り組み、現状の課題とこれから

先日、別のコラムで「緩和ケアの仕事と資格」について取り上げましたが、
緩和ケアの現場で実際にご勤務されている方々の想い、悩み、
また取り組みなどについてもっとよく知りたいと思い、
このほど日本緩和医療学会の支部会へ参加させていただきました。

医師、看護師、薬剤師、栄養士や臨床心理士等、
チームで患者さんに携わる多角的な視点からの発表を見聞きし、
改めて緩和ケアの必要性と気運の高まりを感じてまいりました。

たった1日の学び、ほんの一部分の理解ではありますが、
得られた気づきをいくつかのトピックスにまとめます。
少しでも、ご関心をお持ちの方々の参考になれば幸いです。

【緩和ケア病棟の施設基準の変化】
平成30年度診療報酬改定で、緩和ケア病棟入院料は施設基準が1と2に分かれました。
入院料1を算定するためには、入院料2の基準に加え、次の2つを満たす必要があります。

 ・直近1年間の平均在棟日数が30日未満かつ平均待機期間が14日未満であること
 ・直近1年間において、在宅に移行した患者が退院患者全体の15%以上であること

また、入院料1・2それぞれにおいて、在棟日数によって3段階の区分があり、
期間の長さで診療報酬点数は大きく異なってまいります。

 ・30日以内の期間
 ・31日以上60日以内の期間
 ・61日以上 

これらの基準は、がん拠点病院の緩和ケア病棟への入院がすぐにできない
「待機患者」を減少させることを目的としています。
また医療政策が一貫して目指す「入院から在宅へ」の流れに沿ったものでもあると言えます。

緩和病棟を持つ各病院の発表を聴講していますと、
成果として待機日数や平均在棟日数の減少が見られる反面、
緩和ケア病棟を「終の棲家」と捉える患者さん、
「病棟でこのまま看取ってほしい」と希望されるご家族も存在し、
「何日以内」という日数での転院・退院を求められながらも
夫々の事情や感情に向き合わねばならない、向き合いたいと悩む、医療従事者の葛藤が見えました。

【地域ごと、機能ごとの役割と連携】
右肩上がりに推移してはいますが、
全国に緩和ケアの病床はわずか403施設8000余床*(2018年度)。
緩和ケアチームを持つ病院数は2014年調査で992病院**となっています。

地域的な偏りもかなりあり、首都圏などでは20施設以上が緩和ケア病棟を有していますが、
県内に1~3施設、数十床のみという県も多数ある状況です。

緩和ケアの対象疾患と対象時期の広がりを考えれば、
医療従事者の数も拠点の数も圧倒的に足りません。
しかし、病床の絶対数を簡単に増やすことはできませんし、
今ある限られたリソースをどのように有効活用するかが焦点になってきます。

地域連携をテーマとしたシンポジウムでは、
緩和ケア病棟と一般病棟・外来通院などとの院内連携の事例や、
在宅診療との連携、有床診療所や介護施設など
在宅以外の退院先の活用などの工夫例の紹介がありました。

その成果は在棟日数の短縮、緩和ケア病棟の待機期間の短縮として表れ、
地域に求められる役割と制度との狭間で悩みながら、
「緩和ケアを必要とするできるだけ多くの方に、できるだけ満足度の高いケアを提供する」
という共通する目的に向かって取り組んでおられる様子がわかりました。

*日本ホスピス緩和ケア協会ホームページより
**2014年度医療施設調査より

【医療従事者のバーンアウトという問題】
より早期からの緩和ケアが行われるようになってきたとはいえ、
緩和ケア病棟や在宅の現場では、治る見込みのない病でいつ増悪するか、
いつ亡くなるかという患者さんに寄り添い、最期の時をともに過ごすことになります。

身体的のみならず精神的な苦痛に苛まれ苦しむ患者さんを前に
「何もできない、してあげられない」という無力感や虚しさ、
また時には担当患者さんの自死といった衝撃的な出来事をきっかけに、
医療従事者がバーンアウトに至るケースも存在しています。

緩和ケアでは、全人的苦痛の一側面としての患者の「スピリチュアルペイン」への
アプローチが研究されていますが、
医師や看護師等の様々な視点からの、事例を交えた講演を拝聴し、
医療従事者が患者との距離感に悩んだり、
感情の受け入れに戸惑い苦しんだりしている様子を伺うにつけ、
医療従事者そのもののスピリチュアルケアやメンタルサポートについては、
個人レベルでの学習や、個々の現場単位での取り組みに依っている状況と感じました。

【緩和ケアにおけるリハビリテーション】
地域連携に関するシンポジウムの、ディスカッションの中で投げかけられたテーマです。

進行がん、末期がんなどで緩和ケアを受けている患者さんにとって、
リハビリテーションは「機能を回復する・元に戻す」目的を達成することはできず、
主目的は「QOLを高めること」にあります。

患者とその家族の要求をもとに、痛みや症状をを軽減し、
体力の低下や易疲労性を考慮しながら食事やトイレ、歩行などの日常動作を
できるだけ続けられるように工夫をする。
積極的治療が終了した後も「まだリハビリというケアが継続されている」ことがもたらす
患者本人や家族への心理的な支えという役割も大きく、
最期までその人らしく生きることを支える非常に重要なアプローチです。

平成22年度には「がん患者リハビリテーション料」新設され、
基準を満たした届出施設における実施は診療報酬に算定できるようになりました。
しかしながら、治療のための入院、ないし在宅からの緊急入院の患者さんを対象としたもので、
外来通院の患者さんでは算定できません。

また、緩和ケア病棟では、緩和ケア病棟入院料に包括されるため、やはり算定できません。
しかし、上述のようにリハビリの果たす役割は大きく、
患者さんや家族からのニーズも高く、算定は度外視して実施しているのが実情のようです。

【終わりに】
1日の学びを通して、改めて感じたことがあります。
緩和ケアの現場というのは、一人ひとりの患者さんとのかかわりの密度が
圧倒的に濃いところであるようです。

医療スタッフが大勢束になって、ひとりの患者さんのことで深く悩み、考え、
最期まで寄り添い続けようと試みては虚しさや挫折を味わい、
自問自答しながら向き合い続ける。精神的に過酷な場所かもしれません。

その一方で、「辛そうだった症状が軽減され、楽になったようだ」
「薬剤コントロールが奏功し数日だけでもご家族と穏やかな時間を過ごしてもらえた」
「自宅で過ごしたいという願いを一瞬でも叶えられた」といった
ひとつひとつのエピソードが、患者さんとご家族だけでなく、
かかわった医療従事者にとっても忘れられない記憶となって積み重なっていくような、
そんな場所でもあるのかな…と感じました。

現状では圧倒的に「がん患者のためのもの」というイメージがついている緩和ケアですが、
2018年診療報酬改定で、末期心不全も緩和ケア診療加算の算定対象に追加となりました。

今回の支部会でも、ポスターセッションではALSや重症肺炎等に関する発表も見られました。
ますますニーズが高まっていく緩和ケア。
もっともっと多くの先生方に参画いただき、また注目していただきたい分野です。

現在、緩和ケアの資格を取ることができる在宅診療所や、
内科医として勤務しながら院内で緩和ケアを学ぶことができる病院などでも、
医師の募集のお話をいただいております。
ご関心をお持ちの先生がいらっしゃいましたら、ぜひコンサルタントにお問い合わせください。

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