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キャリアアドバイザーコラム

医療従事者に求められる倫理観 ~公立福生病院・透析中止の判断は正しかったのか~

ニュースから考える

「安楽死」「尊厳死」という考え方

ご存知の通り、日本では諸外国と違い「安楽死」が法律で明示的に容認されていません。

しかし日本人の7割以上が安楽死の合法化に賛成しているともいわれている中で、
今回の公立福生病院で、担当医師が患者に示した
「透析中止(=死)の選択肢」について様々な意見が出ているようです。

A医師・60代
これはとても難しい問題だと思う。
自分に置き換えてみれば、もう人生やり切った感もある上、
子供も自立しているので、仮に今透析が必要となれば、
間違いなく透析はしない選択肢を取りたい。

その観点では、今回の医師の提案も理解ができる。
とはいえ、今回の患者は40代の女性。まだやりたいこと、出来ることもあったかもしれない。
年齢は関係ない話と言われればそれまでだが・・・

B医師・40代
報道の通り、透析を止めたいという患者の意向に対し、
それが死を意味することだときちんと説明し、
本人と家族の承諾を得た上で本人の意思を尊重したとすれば、
医師に問題があったとは思えない。

今回は透析治療が焦点となっているが、
そもそも「この延命治療は誰のためになるんだろう」と 
疑問を感じながら治療を行う場面もある。

だからこそ、報道では、
あたかも医師が倫理的にあり得ない提示をしたように言われているが
きちんと選択肢を示し、その上でご本人が自分の人生の最期をしっかり考えて受け止め、
自身で決めたのであれば、決して倫理的に間違えていたとは思わない。

C医師・50代
どのような理由であれ、数年単位で生きる可能性があったのであれば
やはり透析を継続する方向で、患者や家族と話をするべきだったのではないか。

しかも今回のケースでは、透析中止後に、本人と家族が透析再開を希望したとのこと。
なぜその要望を受け止めなかったのかと、憤りを感じている。

これらの声は、実は私が今、ご転籍活動のお手伝いをしている先生方の生の声です。
先生方のご意見をお聞きすると、日本以外の他国で今回の公立福生病院で行われた事が発生した場合は、
きっと違った報道のされ方になるのだろうと感じます。   
     

今回のケースでは、
患者が「抑うつ性神経症と診断されていた」という病歴が見落とされていたこと,
「治療中止の撤回を求めたが聞き入れなかった」「終末期に対する見解」が争点になっており、
確かにいくつかの問題があったのだろうと思います。

しかしながら、そもそもの部分として【透析中止の判断】は、
あくまで本当に本人や家族の意思なのであれば、尊重すべきという声もあります。
現に、その判断で納得・満足している患者家族の話も聞いたことがあります。

私が以前担当していた腎臓内科の先生からは、
「患者本人の意思の背景には、様々な想いがある。
 表向きには、一生治ることは無く、透析治療を継続していくらいなら・・・仰っても、
 実際はこれ以上家族に迷惑を掛けたくないとの思いから、透析中止を選んでいる可能性もある」
「透析中止という選択もあると伝えることは話す場合もある。
 しかし終末期の定義が曖昧であり、日本社会が尊厳死・安楽死を認めていない以上、
  医師が責任を追及される可能性もある。」
という話をお聞きしたこともございます。

現場の先生方の声をお聞きすればするほど、
医師という重い決断を迫られる立場の方々は、
今回の福生病院の問題を受けて萎縮し透析中止などの延命治療に関する選択肢を
示しづらくなるのかもしれない、とも感じます。

2010年に超高齢社会へと突入し、今後も高齢者率は高くなるであろう日本においては、
きっと同様の状況が多発するでしょう。

透析のみならず、様々な場面で治療を継続するか否かを決める時、
現場の医師が正しい倫理観を持ち、
本当に患者にとって良いと思う選択肢を示すことができるような環境整備が、
今の日本で求められる事なのかもしれません。


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